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by ばかぼん父
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2005年 03月 15日
「掬ってみれば無数の刹那」のHOOPさんの「BSE 生物種の壁は?」の中で
紹介されていたLacetの論文を読んでみたら、いろいろな意味で面白かったので 感想を書きたい。 以下一部を「BSE 生物種の壁は?」から引用すると、 --------------------------------------------------------------------------- 1月27日に、アメリカからこのようなニュースが伝えられています。 「人はBSE感染しにくい? サルの実験で危険度推定」 2頭のカニクイザルにBSE感染牛の脳を5グラム食べさせたところ、1頭は5年で脳にvCJD様の脳症を発症したが、もう1頭は6年4ヶ月後でも異常なかったという。サルは牛に比べて7から20倍、BSE由来の脳症には罹りにくい」と結論しているそうです。 ---------------------------------------------------------------------------- 「Risk of oral infection with bovine spongiform encephalopathy agent in primates.」Lancet. 2005 Feb 26;365(9461):781-3. HOOPさんは、論文ではたった2頭のサルを使った実験で、こんな結論がでるはずがないし、Lancetにそんな論文が載るはずもない、と述べられていた。 至極まっとうな感想だし、もちろんこのような結論ではなかった。 しかし「危険部位の除去+今のフランスの月齢30ヶ月以上の牛だけ検査している」現行システムで充分OKという結論でした。 検出限界ぎりぎりの発症前の牛の脳を食べてvCJDになるためには、その脳だけで1.5kg 食べる必要があるとも書いてあった。 (5gが 必要だとしたらという話で、検出限界以下だと300〜1000分の1以下のプリオン量だから5X300=1500。しかし5g 必要かどうかはわからない。引用していた他の報告では50mg というデータもある) 普通に考えれば、脳を喰わせてvCJDになった実験から、脳を食べないから安全だという結論になるわけがない。 しかし「もう脳を食べる事は無いので安全だ」と書いてあるわけではないけれど、行間はそう語っているようにみえる。フランスがそうなのか、この著者達がそうなのか、科学的というより、とても楽観的だ。 母数が極めて少ないので、危険率の算出も「机上の空論」級のとても荒っぽいもの。 仮に、1/2のサルに発病した今回のデータが、2/2であってもそのまま同じ結論になるような、論旨だった。 もし、本当に2/2だったら違和感があって、そんな書き方はできなかったと思うけど、 この1/2と2/2の違いで、何が言えるのか? しかし実際の患者数が増えていないことが傍証になっているせいか、 「そうかもね」と思わされる。 うがった見方かもしれないが、「楽観」ムードにさせたいという「結論」が先にあるようだ。 なので、アメリカのニュースを書いた記者が、そのムードにのっても無理は無いと思う。 ニュースのタイトルの「種の壁」については、牛の「共食い」とBSE牛をサルが食べた場合の比較をし、当然、霊長類は危険率が低い。 (同種VS異種の比較で、これが記者の注目した数字) この内容について著者達は、試算とか、中間的な評価という表現で、 サラッと書いているだけだし、要約の中にも書いてない。 ここに注目されても困るだろうというのも事実だ。 それよりも、vCJDを発症したサルの脳をサルに5g喰わせると、44ヶ月と47ヶ月で2頭とも発病したという同じグループの実験が引用されていた。 この論文の実験は、この実験との比較が本来の目的だったのでは、ないだろうか? これも乱暴な計算だが、これによれば「種の壁」の効果は「発病までの時間を1.3倍に遅らせること」程度かも知れない。 クールーが50年の潜伏期とすると、vCJDの潜伏期は65年ぐらいか。 うーむ、微妙なところだ。 by bakabon_chichi | 2005-03-15 18:52 | はぐれ研究員の独り言
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